家を貸すときに知っておきたいこと
家を貸すときに知っておきたいこと
家の住み替え、急な転勤、家の相続などにより、
使用されないご自宅を賃貸として活用したいとお考えの方々に向けて、家を貸すときに必要な情報をまとめました。
まずはじめに
家を貸すために、まず知っておきたいことをご紹介します。
家を貸すことのメリット、デメリット、契約の種類や違いについて理解しておきましょう。
家を貸すときのメリット、デメリット
メリット
- ・家賃収入が得られる
- ・愛着のある家を手放さなくてよい
- ・家に戻ることができる
- ・将来、子供に相続させることができる
- ・必要経費が家賃収入を上回った場合、確定申告により税金が戻ってくる可能性がある(節税効果)
デメリット
- ・空室になった場合、収入が得られない
- ・入居者や建物管理の手間と費用がかかる
- ・家賃収入に対して、確定申告が必要となる
契約の種類
普通借家契約
普通借家契約とは、期間を定めて、または、期間を定めないで、建物の使用収益及びその賃料を定めてする法定更新のある建物賃貸借契約です。
契約期間を定める場合は1年以上で、上限に関する制限はありません。通常は、契約期間を2年とすることが多いようです。1年未満の契約期間を定めた場合、「期間を定めない」建物賃貸借契約となります。
普通借家契約は「法定更新制度」(いわゆる自動更新制度)があるため、更新することが前提となっていて、契約が切れる「1年前から6ヵ月前までの間」に更新しないなどの通知がなければ、自動的に契約が更新されます。
法定更新後は「期間を定めない」建物賃貸借契約となり、退去したいときは、貸主に対して退去したい旨の通知をしてから3ヵ月後に契約終了となります。
契約の更新は、法定更新のほかに、貸主借主双方の合意により更新するという方法があります。
定期借家契約
定期借家契約は、期間の定めのある建物の賃貸借で、かつ、契約の更新がなく、公正証書等の書面で契約されることが必要な賃貸借契約です。
契約期間の上限下限は定められていないので、契約期間は自由に決めることができますが、「契約更新」はありません。
引き続き借りたいということであれば、契約更新ではなく、再契約となります。
普通借家契約と定期借家契約の違いについてまとめてみました。
普通借家契約 | 定期借家契約 | |
契約更新 | ある (正当な事由が無い限り更新し続ける) |
ない (期間満了により終了) |
契約期間 | 期間を定めなくてもよい。 期間を定める場合は1年以上。(1年未満の期間を定めても、期間の定めのない契約になる) |
契約期間は必ず定める。 期間についての制限はない。 (1年未満の賃貸期間も定められる) |
契約手続き | 書面でも口頭でも可能。 (トラブルを防ぐため契約書を交わすケースが一般的) |
契約前に、更新のない契約であることを書面で説明する必要がある。 契約は、公正証書など書面で結ぶ必要がある。 |
賃料増減額の 特約 |
特約に関わらず、当事者は賃料の増減を請求できる。 | 借賃の増減は特約の定めに従う。 |
中途解約 | 中途解約できるとする特約は有効。 特約がなければ、貸主と入居者の合意が必要。 |
特約がなければ、中途解約は原則できない。 居住用で床面積200㎡未満の物件の場合のみ、入居者がやむを得ない事情で、生活の本拠に使うのが困難になったときは中途解約できる。 |
定期借家契約は契約期間を自由に設定できる、契約期間が終了すれば確実に退去してもらえるなどのメリットがありますが、
更新料がもらえない、賃料・礼金等が低めになる傾向があるなどのデメリットもあります。
家を貸すまで
家を貸すにあたって、流れや賃貸の相場、よくあるご質問などをご紹介します。
家を貸すまでの流れ
家を貸すまでの流れをご紹介します。ご相談から入居まで不動産会社に依頼することができます。
Step1
ご相談
家を貸す条件、希望等をご相談ください。
Step2
依頼
賃料の査定をご依頼ください。
不動産会社から物件と近隣相場を調査の上、賃貸諸条件をご提案します。
ご提案内容を元に、募集賃料や条件等を決定、不動産業者に入居者募集(仲介業務)を依頼します。
Step3
入居者募集
不動産会社において、ホームページ、不動産専門サイト、チラシなどへの情報掲載、店頭での物件紹介など入居者募集活動を行います。
Step4
入居申込・入居審査
入居希望者に対して、不動産会社が現地ご案内、条件交渉を行います。
貸主様に入居申込者の審査をしていただき、入居者を決定します。
Step5
賃貸契約
入居者に対して、不動産会社が賃貸物件に関する重要事項を説明し、貸主様と入居者間で賃貸借契約を締結します。
Step6
入居
入居者に鍵を引き渡します。
賃貸の相場
過去3年間の当社ホームページの平均相場をまとめました。単身者からファミリー向けまで、お部屋の広さに応じた賃貸価格が一見できます。
家を貸すまでのよくある質問
- ペット不可等の条件はつけらますか?
- 可能です。ペットは、におい、部屋の傷みが激しいので、賃貸借契約の特約によってペット不可等の条件をつけることができます。
- 貸すために必要な準備は?
- 入居者に気持ちよく使っていただくために、設備のメンテナンスやリフォーム、ハウスクリーニングなどある程度の手入れが必要です。また、家を貸すための条件をあらかじめ決めておくことも重要です。
- 分譲マンションを貸すときの注意点は?
- 分譲マンションを貸すときは、入居者にもマンションの管理規約、使用細則などを守ってもらう義務があります。
分譲マンションを貸すときは、あらかじめ入居者に対して管理規約や使用細則の内容、管理組合や管理人等の役割を充分に説明しておく必要があります。
- 家を貸すまでにチェックすべきことはありますか?
- 家を貸すということは、同時に付帯設備も貸すことになります。
給湯器、風呂釜、ガスコンロ、エアコン等の諸設備の機能が、正常に動作するか十分にチェックしておく必要があります。
必要があるときは事前に修理して、使用できる状態をご確認下さい。
- 家具などを付けたまま貸せますか?
- 家具などを付けたまま貸すことは可能ですが、キズ等のトラブルの原因となる場合もありますので、別の場所での保管をおすすめ致します。
家を貸したら
入居後は、入居者管理・建物管理など様々な管理業務が発生します。まずは、どのような管理業務があるのか理解しておきましょう。
管理の種類について
入居者からの家賃徴収や苦情処理、設備保守など、以下の種類の管理業務があります。
入居者管理
入居者募集
入居者募集は、入居者が退去する度に行います。
家賃管理
毎月の入金状況を入居者毎に管理します。
家賃の未入金があったらすぐに対応し、集金します。
退去管理
入居者が退去するときに室内を点検。部屋に破損や汚損などがあれば、入居者の過失によるものかどうかを確認し、入居者と話し合って補修費用の負担割合を明確にします。
クレーム・トラブル対応
クレーム・トラブルは設備の故障や雨漏りに関するクレームや入居者同士、近隣住民とのトラブルなど様々。一般的なクレーム・トラブルに対する適切・迅速な対応方法について、知識を身に付けておく必要があります。
建物管理
清掃
共用通路や階段、エントランス、外構などの定期清掃と大規模清掃。
設備保守・点検、補修
電気・ガス・給排水設備などを定期的に点検します(必要に応じてメンテナンス)。
法定点検が義務付けられている設備は、専門業者に依頼して実施します。
空室管理
入居者の退去があったときは、室内の清掃・修繕業務を行います。次の入居者が入るまで点検・清掃・空気の入れ替えなどを継続し、良好な状態を保ちます。
長期修繕計画
外壁の塗り替え、設備の取替えなどの大規模なメンテナンスは、修繕積立金を積み立てておき、計画的に修繕を行います。
家の管理についてのよくある質問
- 入居者が家賃を払わない時はどうしたらいい?
- まず、家賃の支払いを求めます。それでも払っていただけない場合は契約の解除、物件からの退去・明渡しの請求ができます。入居者への請求(督促)は「内容証明郵便」で行うと、後々の証拠となります。
- 入居者退去後の原状回復は?
- 年月を経たことによる汚れや傷みなど、通常使用による自然消耗(経年劣化)は、貸主様に修繕義務があります。入居者の故意・過失が原因で物件が破損した場合、貸主様が破損個所の修繕を入居者に請求、または、貸主様が修繕して、その修繕費を後から入居者に請求することもできます。
- 確定申告はどのようにすればよいのでしょうか?
- 家を貸すと、入居者から受け取る賃料等は税務上「不動産所得」となり、所得税と住民税がかかります。不動産所得の額は、賃料等の収入から必要経費を差し引いて計算されます。この不動産所得が黒字の場合は所得税の申告をしなければならなりませんが、一定の要件を満たした場合は不要です。
一方、赤字の場合は、給与所得などの他の黒字の所得と合計して課税対象となる所得金額が計算される(損益通算)ので、源泉徴収されていた所得税が還付される場合があります。よって、不動産所得に関しては、赤字の場合も確定申告することで節税対策となる場合があります。
- 契約条件を守らない入居人は契約解除できますか?
- いきなり契約解除することはできません。
契約違反に気づいたら、まず違反状態を止めるように要求し、それでもまだ違反状態を続ける場合に、入居人との信頼関係を損なったとして、はじめて契約解除の請求ができます。
- 修繕費や滞納家賃を回収するには敷金が足りないのですが…
- 敷金は、借家契約で発生する損害を担保する預かり金なので、清算時期に滞納家賃や損害金を差し引き、残りは入居人に返済しますが、差引金額のほうが大きいこともあります。この場合、足りない部分は入居人に別途請求できます。
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