Vol.52 別所哲也さん

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インタビュー 私のいえ ∼すまいの履歴書∼ 各界でご活躍の方々に、家、住まいに、住み替えにまつわるお話を伺いました。インタビュー 私のいえ ∼すまいの履歴書∼

Vol.52 2016/9/20更新

日本の住まいは、デザインも機能性も精巧です。海外での滞在を経験すればするほど、そう感じますね。 別所哲也さん

日本の住まいは、デザインも機能性も精巧です。海外での滞在を経験すればするほど、そう感じますね。別所哲也さん

profile
別所哲也(べっしょてつや)
1990年、日米合作映画『クライシス 2050』でハリウッドデビュー。その後、映画、ドラマ、舞台、ラジオなどで幅広く活躍中。99年より、日本発の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル」を主宰。内閣府から『世界で活躍し「日本」を発信する日本人』の一人にも選出される。第1回岩谷時子賞奨励賞受賞。第63回横浜文化賞受賞。『報道ライブINsideOUT』(BS11)メインキャスター。

これまで海外での滞在を数多く経験してきた別所哲也さん。それを経て思うのは日本の家造りの素晴らしさ。日本の住まいには、デザインにも機能性にもレベルの高さを感じるそうです。大学時代の一人暮らしやアメリカの生活から得たこと、そしてこれからの住まいプランなどについてもうかがいました。

子どもの頃は2回の引っ越しを経験。上京後は寮生活を経て一人暮らし

別所哲也さんの写真1
子どもの頃を振り返る別所哲也さん

生まれは、静岡県の島田市です。子どもの頃は市内で2回引っ越しをしたのですが、2軒目に住んだ家は印象に残っています。というのも、そこはもともと楽器店だったお宅をリフォームした家だったため、庭の物置には前の家主の方が残していったリコーダーやトライアングルなどの楽器が置いてありました。それらを掘り出して遊ぶのは、まるで宝探しのようで、とても楽しかったことを覚えています。
その後、私が中学2年生の頃、同じ市内にあった祖母の家を改築して引っ越し、初めて自分の部屋ができました。改築中には上棟式もしましたし、子どもながらに何か晴れがましい思いでした。とはいえ、中学、高校時代の私は部活動に明け暮れていましたから、家で過ごす時間は寝ているときか、仕方なしに勉強をしているときくらい(笑)。家族よりも部活の仲間と過ごす時間が多かったのでないでしょうか。
その後、大学進学と同時に上京をしました。高校卒業後は「東京へ行きたい」「自立して暮らしたい」という気持ちが強かったので、地元や実家を離れることに躊躇はありませんでした。
上京後、通っていた慶應義塾大学の日吉キャンパス近くにある学生寮に入りました。朝晩の食事もついていて、完全な一人暮らしというわけではありませんが、個室もありましたし、何しろ初めて親元を離れての東京暮らしに心が躍っていました。
ところが、1年も経つと次第に友人と外食する機会も多くなって寮で食事をとることが少なくなり、寮の先輩後輩という上下関係にも窮屈さを感じるようになり…。そこで寮を出て、賃貸アパートを借りることにしました。これが正真正銘の一人暮らしですね。
最初は、世田谷区奥沢でした。このとき初めて、冷蔵庫や洗濯機、電子レンジ、電話などの家電を一通り買い揃えました。全部、自分でやらなくちゃいけないんです、当たり前ですが(笑)。「自分で生活をするとは、こういうことなんだ」と、気づかされました。

大学卒業後はアメリカへ。広々とした高級マンションでの一人暮らしを経験

別所哲也さんの写真2
アメリカの生活を思い出す別所哲也さん

子どもの頃から英語が好きだったので、将来は世界を飛び回る商社マンになりたいと思っていました。しかし、大学で英語劇サークルに出合ったことで、表現の世界にも興味が沸き俳優を志すことにしたのです。どうしたらいいのかわからないままに、新聞や雑誌に載っている一般オーディションを片っ端から受けて、合格したのがあるミュージカルの役でした。その仕事で、今ではハリウッド映画のキャスティングディレクターとしても名を馳せている奈良橋陽子さんと出会い、彼女の主宰する劇団に入りました。劇団には、今、第一線で活躍しているたくさんの俳優や振付師、脚本家などが集っていて、とても刺激的でしたし、今に至るネットワークを築くきっかけにもなりました。
大学4年生で俳優デビューを果たし、卒業の翌年には日米合作のハリウッド映画のオーディンションを受け、幸運にも合格。私はアメリカに渡ることになったのです。それまで何度もオーディションを受けては落ち、同期に先を越されて意気消沈していたところに、いきなりのハリウッドデビューでしたから、「やっと自分にもチャンスが巡ってきた」と、気持ちが高ぶったのを覚えています。
アメリカの住まいは、それは贅沢な空間でした。高級クルーザーが並ぶヨットハーバーの一角にある建物で、敷地の中央には大きなプールがありました。部屋は20帖くらいの大きなリビングと、それとは別にベッドルームもありました。カウンター付きのキッチン、大きなオーブンや、大きな洗濯機、乾燥機。ひとりではどうやっても持て余す広々とした空間でしたし、使わないものも多かった。ハリウッドに行けば、最高の待遇が用意されていることはなんとなく知ってはいましたが、初めて目にしたゴージャスな空間にますます意気高揚するばかりでした。
ですが、この豪華な部屋は、「それに見合った仕事をしてください」というメッセージでもあり、これに失敗したら次はありません。ですから毎日、台本を覚えたり、英語のレッスンに通ったり、体づくりをしたりと必死で、優雅な暮らしを満喫する余裕などありませんでした。

海外を体験したからこそわかる日本の住宅の良さ

別所哲也さんの写真3
帰国後の暮らしを語る別所哲也さん

アメリカには1年半ほど滞在し、帰国してからは友人とルームシェアをしていました。アメリカの広い部屋での暮らしを経験すると、どうしても東京のワンルームは窮屈に感じてしまいました。でも、ルームシェアすれば同じ金額でも、広い空間で暮らすことができます。一人で10万円の部屋を借りるより、2人で20万円の部屋、3人で30万円の部屋を借りるほうがリビングもキッチンも断然グレードアップできるじゃないですか。アメリカではルームシェアという文化は当たり前で、周りの友人の多くもそうしていたので、抵抗はありませんでした。だから、日本に帰ってからは、自分で率先して友人を誘い、数年ですが一緒に暮らしました。リビングが広かったので人も集まりやすく、その頃は、俳優仲間や脚本家などをたくさん呼んでは、よく食事会をしていましたね。
30代に入った頃、そろそろマンションを購入しようかなという考えが芽生え、物件を探し始めました。もともと建築に興味があって間取り図を見ることが大好きなので、モデルルームを巡り始めたら、すっかりハマってしまって。3∼4年は、モデルルーム三昧でした(笑)。 巡りに巡って30代後半でようやく購入したのが、今も暮らすマンションです。実はこれ以前にも、買おうと思って、寸前で止めてしまったようなことが何度かありました。他に目移りしてしまって。ですが、今のマンションは、見た瞬間に即決していました。決め手は「開放感」です。この仕事をしていると、環境によっては窓やカーテンを閉めきりにしなければならないこともあります。その点、今のマンションは人目を気にせず風を通すことができて、見晴らしも素晴らしい。見た瞬間に魅了されてしまいました。
アメリカでの生活以外にも、仕事柄、何度も海外に滞在する機会がありました。それを経験して思うことは、日本の住環境の素晴らしさです。海外のコンドミニアムは、見た目はゴージャスであっても、一週間も滞在すれば“粗さ”が見えてくる。ですが日本の住宅は、通気性、断熱性など細部にわたって配慮されていますし、ディテールにしてもデザインにしても機能性にしても、その土地の気候や特性と向き合った家造りをしています。耐震性の意識の高さも、他国に類を見ないのではないでしょうか。
今のマンションは結婚前から住んでいますが、子どもが成長するにつれ、ライフスタイルも変わってきますし、今後1∼2回引っ越しをすると思います。親と暮らす可能性もあるかもしれませんしね。一軒家を持つのか、利便性のいいマンションを選ぶか、そのあたりは、いろいろなことを踏まえて検討しなければならないと思っています。ただ私自身、建築にも興味があるので、自分でこだわりの一軒家を建ててみたいという気持ちはありますね。

こぼれ話

旅番組などで世界を廻るようになってからは、各地のフォークアートやアンティーク家具に引かれ、集めるようになったそうです。写真は、別所さんのご自宅に飾られた曼荼羅図、3点。「仕事で訪れたネパールで買ったものです。どうしても欲しくて、何度も足を運んで購入しました。自宅は、自分の旅の履歴がわかる、ギャラリーのようにしています」

INFORMATION

別所さんが代表をつとめる米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)」が、「シネマカーニバル -秋の短編映画収穫祭-」と題したイベントを開催。SSFF & ASIA 2016グランプリ受賞作品や、ドラマ『SHERLOCK』などでも有名なマーティン・フリーマン他、人気英国人俳優出演によるここでしか観られない作品も多数。1プログラム90分の中で複数本のショートフィルムが無料で楽しめます。また、『鉄男』や『野火』まで数々の名作を手掛け、世界の映画界を熱狂させている塚本晋也監督を講師に迎えた、クリエイター向けのワークショップなど多彩なイベントも。

ショートショート フィルムフェスティバル & アジア シネマカーニバル -秋の短編映画収穫祭-
■期間:2016年10月17日(月)∼23(日) ※会場によって期間が異なります。
■会場:アンダーズ東京 <2016年10月17日(月)∼19(水)>、
    東京都写真美術館<2016年10月20日(木)∼23(日)>

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