【Vol.6】 首都圏・中古住宅市場動向-H16.10-12月期
■景気は減速感を拭えず、中古住宅成約件数は伸び悩みが続く
H16年度・第3四半期(H16.10-12月期)におけるわが国経済は、米国や中国での景気スローダウンやIT関連の在庫調整をきっかけに、外需の伸び鈍化と企業部門に対する向かい風によって、足踏み状態がさらに強まる様相を呈しました。当第3四半期の経済成長率は、実質ベースで前期比(対H16.7-9期)年率+1%程度、前年の同じ期に比べると+1.8%になることを見込んでおりますが、企業の設備投資意欲が強いことに支えられてプラス成長は維持するものの、やはり減速感は拭えない状況になりそうです。こうしたマクロ環境のなかで、人々の景況感も一段と悪化へ傾き、住宅の購入意欲は以前に比べて減退したという印象を抱いております。さて、首都圏における中古住宅市場についてですが、成約件数は(東日本不動産流通機構「News Letter」から)、当第3四半期・総合計で前年の同じ期に比べて▲1.4%と減少を余儀なくされました。種別でみますと、マンションは+3.3%と順調な伸びが続きましたが、一方、戸建は▲4.4%と3・四半期連続でマイナスを示し、成約件数全体の伸びを抑える要因となりました。当第3四半期も、東京都心に近く、利便性に優れた中古マンションのニーズは強く、マンションは堅調な推移となりましたが、戸建につきましては、団塊ジュニアを中心とした若い方たち(若年層)が、郊外の新築戸建を購入されるケースが目立ち、伸び悩む結果となりました。
■価格帯の高い物件の取引量が増え、中古住宅平均成約価格はマンション・戸建ともに「上昇」を示す
平均成約価格につきましては(東日本不動産流通機構「マーケットウォッチ」から)、当第3四半期のマンション・前年の同じ期に比べて+2.5%、戸建・同+4.8%と、双方とも「上昇」を示しました。マンションは、東京都ではっきりとした上昇傾向がみられますが、最近では、神奈川県でも緩やかな上昇トレンドを描くようになっています。多少価格は高めでも、立地条件が良く、築年数が浅い物件の取引量が増えていて、これらが価格面で下支えしているものと思われます。戸建は、同じく東京都や神奈川県で上昇が続いていますが、直近では埼玉県でも下げ渋る動きが強まっています。なかでも東京都では、都心や城南地区を中心としたエリアで高額物件の取引量が増加し、平均成約価格の上昇につながっています。景気が着実な回復基調を辿っていることが背景にあり、さらに銀行など金融機関から住宅ローンが借りやすくなったことも、これら高額物件の取引が増えた要因と考えられます。
■件数は景気が再び成長軌道に向かうと増勢に、価格は上昇基調が続くことを予想
今後につきましては、足踏みが続く景気動向を踏まえて、H17年度の前半ごろまで当第3四半期までの流れを引っ張ると思われますが、景気が再び成長軌道に向かうと予想される年度後半からは、成約件数は増勢に転じることを予想しております。また、平均成約価格は、発表の都度上昇ポイントが増える地価データの心理効果に加えて、来年度に向けたデフレ脱却の出口が見え隠れしていることから、引き続き上昇を示し続けると考えております。これからも、ぜひ中古住宅市場の動きにご注目下さい。
図表:首都圏・中古住宅の成約件数(前年同期比) |
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図表:首都圏・中古住宅の平均成約価格(前年同期比) |
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※このデータは2005年01月27日現在のものです。