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【Vol.35】 ピアチェックなど耐震偽装問題に対応した改正建築基準法が施行に

確認審査などが厳格化され、中間検査が実施されます

平成17年11月に発覚した構造計算書偽装事件(姉歯事件)を契機に、再発を防止するため、昨年の国会において建築基準法・建築士法等が改正されました。 このうち、建築確認・検査の厳格化、民間確認検査機関に対する指導監督の強化、建築士等に対する罰則の強化など一部の改正事項については本年6月20日から施行されました。

1.第三者機関の専門家による構造計算書のチェックを実施
構造計算書の偽装等を防止するため、高さ20mを超える鉄筋コンクリート造の建築物など一定の高さ以上等の建築物については、第三者機関による構造審査(※ピアチェック)が義務付けられます。
※ピアチェックとは、専門家による二重チェックのことです。建築確認申請を行った設計事務所とは別に、同等又は同等以上の能力・資格を有した設計事務所に申請内容の再確認を依頼し、その安全性を確実なものとするシステムです。



今までは、建築主事や確認検査機関が構造計算書のチェックを行うだけでしたが、知事の依頼によって適合性判定機関で精査を行います。 ピアチェックの対象となる建築物は下記になります。
  • 鉄筋または鉄筋コンクリート造の建築物で高さ20mを超えるもの
  • 鉄骨造の建築物では地階を除く階数が4以上であるもの
  • 木造の建築物では高さが13mまたは軒の高さが9mを超えるもの
  • その他政令・告示で規定する場合

2.構造計算適合性判定制度の導入に伴い、建築確認の審査期間が延長されます。
現状21日以内→35日以内。ただし、複雑な構造計算を行った場合は最大で70日以内に延長となります。

3.建築確認や中間・完了検査に関する指針が告示で定められ、建築主事や民間機関の確認検査員は、これに従って適正に業務を行うことになります。
従来、設計図書に関係法令に適合しない箇所や不整合な箇所がある場合には、建築主事等が申請者にその旨を連絡し、補正させた上で確認するという慣行がみられましたが、こうした慣行が偽装問題等の一因となっていたことを踏まえ、指針においては、誤記や記載漏れなどを除き、図書の差し替えや訂正がある場合には、再申請を求めることとしています。したがって、申請前に設計図書のチェックを十分に行うことは当然のこと、あらかじめ建築計画の内容を確定した上で、確認申請を行う必要があります。

4.3階建て以上の共同住宅については、中間検査が義務付けられます。

5.確認申請に係る建築設計に複数の設計者が関わっている場合には、責任を明確にするため、確認申請書の設計者欄に全員の氏名等を記載することとします。


マンション業界では、すでに設計や施工の第三者チェックなどを取り入れるケースが増えており、改正建築基準法の施行により、建物の安全性を確保するための制度が整うことになります。

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