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【vol.68】 2010年公示地価

2010年公示地価 全国平均で2年連続下落


年後半の変動率では下落幅が縮小

国土交通省は3月18日、2010年1月1日時点の公示地価を発表、全国の全用途平均で下落となりました。変動率は住宅地が▲4.2%(昨年▲3.2%)、商業地▲6.1%(同▲4.7%)でともに昨年に引き続き2年連続の下落。
地価上昇を牽引してきた大都市部での落ち込みが顕著に現れています。地価上昇地点は愛知県・静岡県内の7地点だけと、調査開始以来もっとも少なくなりました。ただし半年ごとの変動率では、前半に比べ年後半の09年7月から10年1月までの下落幅は縮小してきています。
なお、不動産の評価は、築年数、間取り、広さ、土地の形、方位、周辺環境等様々な要素によって異なります。不動産のお取引を検討される際には、お近くの住友不動産販売の営業店舗へお気軽にご相談下さい。


公示地価…国土交通省が、毎年3月に公表する1月1日時点の全国の土地価格。

土地鑑定委員会が2人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め、その結果を審査し必要な調整を行って判定します。今年は全国で2万 7,800地点の標準地が評価されました。




東京圏の地価下落、都心部での落ち込みが大きい

東京圏の住宅地は▲4.9%と2年連続の下落となりました。その内東京都の平均は▲6.2%(昨年▲6.5%)、都区部が▲6.8%(同▲8.3%)とともに下落幅は縮小しています。ただし神奈川県、埼玉県、千葉県といった周辺県で拡大しており、全体としての下落幅は拡大しました。
商業地も昨年の▲6.1%から▲7.3%と拡大しています。特に区部都心部の変動率は▲12.5%と東京圏の地域別では唯一2桁の下落幅となるなど、落込みが大きくなっています。



大阪圏、中心部での下落率が拡大

大阪圏の住宅地も▲4.8%(昨年▲2.0%)と東京圏と同様2年連続の下落となりました。ただし東京都の下落幅が縮小しているのに対し、大阪府は大きく拡大しています。
商業地も▲7.4%と2年連続で下落となっています。特に中心部での落ち込みが目立ち、大阪市の変動率は▲11.7%(同▲5.3%)、市内中心6区の平均は▲13.8%(同▲6.3%)となっています。


名古屋圏、5地点で地価が上昇

名古屋圏では、住宅地4地点、商業地で1地点の計5地点で変動率が上昇しました。5地点とも名古屋市緑区で、11年3月に開通予定となっている地下鉄線の延伸効果により上昇したようです。
住宅地の平均変動率は▲2.5%(昨年▲2.8%)と、2年連続の下落でしたが、東京圏と同様下落幅は縮小しました。一方、商業地は▲6.1%(同▲5.9%)と拡大しています。


地方圏、2年連続で下落幅拡大

住宅地▲3.8%、商業地が▲5.3%と18年連続で下落しています。   05年以降下落幅は縮小傾向にありましたが、09年に引き続き2年連続で拡大しました。07年から08年にかけて地価が上昇していた3大都市圏と比べると下落幅は小さいのですが、引き続き厳しい状況が続いています。



地価水準

いわゆるバブルと言われていました1990年の価格を100として、今回公表された地価水準(指数)を見てみますと、全国の全用途平均は92年から下落が続き、07年にプラスに転じ08年は上げ幅を拡大しましたが、09年は下落に転じ10年は下げ幅が拡大しています。90年との比較では全国平均で50.1とバブルの頃のほぼ半分の水準となっています。
地域別の90年対比では、東京圏が39.7、大阪圏は30.5の水準でしかありませんが、名古屋圏はバブル期に大幅な上昇が無かったこともあり、  58.0と首都圏や近畿圏に比べると比較的高い水準を維持しています。




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