不動産ニュース

国交省、賃貸住宅の修繕で新スキーム推進

年度内に手引き書、計画的な維持管理を促進

　国土交通省は、民間賃貸住宅の計画的な維持管理を促進するため、1棟マンションのオーナーが長期修繕計画に基づいて賃貸管理会社に修繕を委託し、毎年委託費を支払い、賃貸管理会社が修繕工事の施工業者を選定し発注する、長期修繕委託方式のスキームを推進する。標準的な長期修繕計画や委託に関する留意点などをまとめ、年度内にも手引き書を作成する。
　分譲マンションで所有者が修繕費の積立金を管理組合に支払い、プールしていく仕組みを、賃貸住宅に持ち込む。これまでは、賃貸住宅のオーナーが自ら、年間の家賃収入から修繕費用に積み立てていく方法が取られていたが、賃貸管理会社に毎年委託費を支払いプールするスキームの実施方法を整理し、推進する。賃貸住宅の長期修繕委託方式では、オーナーが長期修繕計画を作成することが重要となるため、同省は構造別の修繕工事に関する実態調査を行い、標準的な長期修繕計画を作成する。手引き書では、同方式での具体的な委託業務の範囲や委託契約のひな形、委託費の会計税務上の扱いや運用方法、施工業者の選定と工事監理の方法などを提示。併せて、構造や住戸タイプに応じた長期修繕計画を作成するための対象部位や修繕周期、施工方法、単価などの考え方から、修繕を実施するための点検、劣化診断、工事の進め方も示す。
　民間賃貸住宅の必要な修繕資金を確保する手段の検討が謳われた住生活基本計画を受けたもの。同省調査では、計画的・定期的に修繕を実施するオーナーの割合は約21％で、とくに自主管理では17％と低い。修繕をしない理由では、「資金的余裕がない」「必要が理解できない」「実施方法が分からない」などが多く、17年にはオーナー向けに修繕の必要性や効果、実施方法を示し啓発するガイドブックを作成している。

（提供：日刊不動産経済通信）