不動産ニュース
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特集 注目マーケットの最新動向①
◎札幌と福岡の都心でオフィス開発が佳境に
―半導体工場進出で好影響、空室率に差も―
地方大都市の二強とも言える札幌と福岡で地価の上昇傾向が鮮明だ。両市の中心部では行政が老朽ビルの更新と企業誘致を促し、遠くない距離の北海道千歳市と熊本県菊陽町に巨大な半導体工場も進出。繁華街には主にアジア系の訪日客が押し寄せるなど、複数の共通する要因で地域産業が沸く。一方、二都市のオフィスの空室率には差がある。札幌では2%台の低位が続き、福岡は需給緩和の分水嶺となる5%前後で高止まりする。両市とも企業の出店意欲は強いが、開発棟数の多寡が需給動向の違いとなって表れているようだ。
国土交通省が19日に公表した商業地の基準地価(7月1日時点)では、都道府県庁所在地別の上昇率トップは札幌市、次点は福岡市だった。基準地別の首位は熊本県大津町で、2位から4位には北海道千歳市の地点が並んだ。いずれも半導体大手「TSMC」、「ラピダス」の工場予定地付近で、前年実績を30%以上も上回った。半導体産業はすそ野が広く、二つの大型工場が北海道中南部と九州北部に居住や消費、企業立地などの面で好影響を及ぼしている。札幌圏では、都心の地価上昇が周辺都市に広がるという従来の傾向に半導体産業がもたらす成長への期待が加味され、住宅地価の変動上位を千歳や恵庭、北広島などが独占した。
札幌と福岡の中心地では向こう数年、段階的に複数の大型ビルが竣工する。立地の良さや最新の設備を求める企業らの引き合いが強い。ただ需給は現時点で札幌の方が均衡している。三幸エステートの調査では札幌市中心部のオフィスの空室率は2月以降、2%台前半が保たれ、8月は調査開始以来の最低値を更新した。募集賃料も最高額が続く。同市内では札幌駅からすすきのにかけての範囲で今年以降に20棟程度の大規模ビルが立ち上がる。札幌には30年度以降、北海道新幹線が函館から延びるほか、市街地外周に環状高速道路を巡らせる構想もある。企業らを広域から迎える受け皿の整備が佳境に入る。同社の滝口恵貴支店長は札幌のオフィス需要について「足元ではITや開発系、コールセンターの出店が多いが、ラピダスの工場が稼働すればメーカーや機械整備、人材派遣などが転入しそうだ。千歳市内にも開発の余地がある」とみる。市中心部の需給は当面緩みそうにない。
◎福岡では博多駅と天神の160haを開発
福岡市中心部の開発ボリュームは札幌市の計画を大きく上回る。市街地と空港が近く、高さ規制があるせいで札幌よりも一棟当たりの施設規模は小さいが、市が仕掛ける開発誘導措置の範囲が広い。15年に始まった天神一帯の「天神ビッグバン」、19年に動き出した博多駅周りの「博多コネクティッド」で容積率が緩和される対象面積はともに約80haだ。昨年5月末までにそれぞれ59棟、20棟の建築確認申請が市に出され、各50棟、14棟が竣工した。開発棟数が多いだけに床の需給はどうしても緩む。三幸エステートによると市中心部の空室率は今年3月に6年9カ月ぶりに5%を超え、7月まで5%台が続いた。8月は4・94%に下がったが、市内では複数の大口二次空室の募集が24年以降に始まるという。同社福岡支店の中村竜治支店長は「来年から空室を抱えて竣工するビルが増え、空室率は数年で8%近くまで上がる」と予測する。
福岡市内でもビルの規模、エリアで空室率に差がある。8月の実績は大型ビルが4.4%、中型ビルが7.2%で、天神は5.5%、博多駅前は4.3%だった。ジョーンズラングラサール(JLL)福岡支社の山﨑健二支社長は「市内では博多駅周辺のオフィスの人気が高く、空き区画の内覧希望が殺到している。日本生命博多駅前ビル、博多新三井ビルディングなどの大きな建て替えがあり、それらのビルを出た企業が付近で移転先を探している影響もある」と話す。博多駅では12年前に九州新幹線博多・鹿児島中央間が全線開業し、今年3月には天神南駅止まりだった地下鉄七隈線が延伸した。市西部や県外などから博多駅に出やすくなり、結果的に駅周辺の空室が埋まりやすくなった。
一方、博多駅よりも開発棟数が多い天神では、募集賃料は下がっていない。一度賃料を落とせば今後竣工する多くのビルに影響するためだ。JLLの山﨑氏は「フリーレントなどの時限措置で坪3万円を維持しようという貸し手の意思を感じる」と指摘し、「福岡のビルは中長期的にだぶつきそうだが、100年に一度の建て替えによる(長い目でみて一時的な)需給緩和は致し方ない」と受け止める。福岡市都心創生課の井上了二課長も「企業誘致を進める上で受け皿となるオフィスの数が増えるのは悪いことではない」との見方を示す。実際に博多に転入する企業の数は増えつつある。半導体大手TSMCと熊本に半導体工場を建てているソニーセミコンダクタソリューションズは昨年竣工した「博多イーストテラス」に拠点を開設。9月1日には台湾の玉山銀行が「天神ビジネスセンター」に福岡支店を出した。博多駅前で9月4日に免震オフィスの建設に着手した中央日本土地建物グループの三宅潔社長は同日の地鎮祭後に「福岡にビル専門の部隊を置き、開発を増やしていく」と明かした。
世界的にオフィスへの投資機運は落ちているが、経済に勢いがある福岡に企業が拠点を出すニーズは高まっている。福岡に出る業種はゲームやIT関連などが多く、東京に次ぐ第二の本社を福岡に置く動きもある。福岡市内の空室率は足元で上昇基調だが「活発にテナントが出入りした末の5%であり、単に空室が増えている状況ではない」(大手仲介)との声が複数ある。福岡市内でいくつもの大型開発を手掛ける福岡地所は、熊本市に委託され、サンケイビルらと同市北部で工業団地の造成と半導体関連企業の誘致に乗り出す。福岡地所は福岡の大名エリアで行政や地域企業らと創業支援の輪を広げてもいる。数多く建てられる福岡のビルが着実に消化されるかは、地元の官民で企業の育成と誘致をどこまで増やせるかで変わってくる。
(提供:日刊不動産経済通信)

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