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2023年12月11日

東京の都市としての効率性を評価すべきだ・高橋 幸男

ー東京の都市としての効率性を評価すべきだー

ー土地利用規制の少なさが柔軟な住宅供給生むー

ー短命な住宅が都市の新陳代謝促すー

◎少し旧聞に属するが9月29日付の日本経済新聞の経済教室で吉田二郎・ペンシルベニア州立大学教授が「欧米メディアや国際会議の主催者が日本の住宅市場への関心を高めている」と報告している。その理由として「都市圏人口3700万人を擁する世界一の大都市の東京で、比較的手ごろな住宅が多く供給されているのは驚異であり魅力だ」からだという。確かに、日本の大都市における住宅価格や住宅賃料は、各種調査から見ても世界の大都市に比べて安い。最近は円安も加わって、さらに安さに拍車がかかっている。吉田教授は「交通インフラと都心住宅の供給が不足していると移動の苦痛が増え、その分だけ都心の住宅の価値が高まる」という世界の大都市における住宅価格の形成過程を挙げる一方で、東京は「驚異的な交通インフラと潤沢な住宅を提供して住宅費用を抑えている」と手放しで褒めている。日本の都市や住宅の貧弱さ、そして集中が止まらない東京のだめさ加減を職業柄ほぼ毎日見聞きする身にとって、とても新鮮だった。実際、東京の鉄道網はまさに驚異的だ。行政区分をまたがる100㎞レベルの通勤移動を場合によっては一つの列車で難なく実現できる。田畑に囲まれた田園地帯から超高層ビルが林立する都心部まで一気通貫で乗り入れることも可能だ。交通インフラだけではない。目につきにくいインフラ、下水道やごみ処理も毎日滞りなくスムーズに措置され処分されていく。世界最大人口を抱える都市圏という現実に立てば、誰もが手放しで評価してもおかしくない。

◎柔軟な住宅供給のバックボーンとなっているのが土地利用規制の少なさだ。日本では地域区分が全国どこでも13種類しかない。米国では都市により区分設定が異なるうえ、ニューヨーク市では140近くの区分が設定されている。日本の土地利用と建築規制は国レベルで決定され地方レベルでの規制の解釈や適用の裁量権がほとんどない。このことが規制を全国均一にし、透明性を高めている。吉田教授はそう指摘する。これも、日々接する言説とは真逆だ。日本の都市計画の欠点としてまず専門家が挙げるのが、その土地利用規制の緩さだ。これによってまちの景観が台無しになり、金もうけのために好き勝手にいろいろな用途の建物が建てられてしまう。だから住宅あり、コンビニあり、町工場あり、でまちの統一性が取れずカオス状態となる。階数から屋根の勾配、ファサードのラインに至るまで細かく定めるドイツのBプランのような建築規制が理想だという専門家もいるくらいだ。さすがにBプランまでは行き過ぎだろうが、いまの土地利用・建築規制は緩過ぎる、というのが専門家の大方の意見だ。もともと都市計画は城塞都市が発祥だと言われている。強大な権力と富を持った王が敵から人的資源を守るため城壁で囲った中に臣民を住まわせた。城壁内の土地の利用区分と利用方法、居住民の選別は強制力を持つ王が決めた。したがって都市計画には有無を言わせない絶対的な権力が必要なのだ。それがなければ、都市計画自体が成り立たない。ユーラシア大陸では都市イコール城塞都市だった。しかし、日本では城塞都市の歴史はない。城下町はあったが、町はお濠で囲った城の外側に広がっていた。それだけ戦が過酷でなかったのだろう。蒙古に襲われたアッバース朝のバグダードは子どもからお年寄り、女性までも皆殺しにされ、犠牲者は数十万人に上ったと言われている。そのような虐殺は日本では、第2次世界大戦の米軍による空襲、原爆以外に経験していない。近代的な都市計画の始まりは産業革命による健康被害がきっかけだった。石炭を燃やした煤煙が都市を覆うようになり住民の肺と身体を蝕んだ。そのため、用途規制で工場の立地を隔離し、居住エリアと産業エリア、商業エリアなどをきちんと区分けした。日本にもその思想と手法は導入されたが、きちんと区分けをするより、住宅地を郊外に野放図に広げていく方向を選んだ。それを鉄道で結んだ。今の東京の骨格の成り立ちである。

◎この日本経済新聞の経済教室の中で吉田教授は、住宅の築年数の短さが今後有利に働く、とも言及している。なぜなら、「短命な建物は環境負荷や資金負担の面では不利だが、都市の新陳代謝を高めるからだ」という。これも住宅の品質を向上させ、住宅を長持ちさせて、既存住宅の流通を増やしていこうとする、いま国が進めている施策とは真逆の発想だ。しかし、少し立ち止まって考えてみよう。住宅の品質を向上させ長持ちさせていくためには、いまその水準に達していない住宅を除去していくことが先決だ。そのためには住宅(建物)の価値が早めに縮減していくほうが除去しやすい。理想的なのは住宅の価値がゼロになることだ。そうなれば存続させておく意味はなくなる。必然的にゼロ価値住宅は取り壊されて、新しい住宅に建て替わる。新陳代謝が生まれるのだ。欧米のように古い住宅のほうが価値は高くなる評価基準であれば、新陳代謝は遅々として進まないだろう。吉田教授はこう記している。「社会や人口分布の変化に伴い求められる住宅の性能や種類が変わる中で、都心部の住宅は急速に建て替えられてきた。環境新技術の導入の観点での利点もある」。同感である。 (高橋 幸男)

(提供:日刊不動産経済通信)

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