代官山アドレス

　近代建築の粋を集めて作られたのが旧同潤会代官山アパートメントです。関東大震災の教訓から、「壊れにくい、燃えにくい住宅」として鉄筋コンクリート造が採用され、当時としては日本初の本格的集合住宅が誕生しました。その歴史ある場所に、再開発として代官山アドレスが建設されました。地上36階建の超高層住宅を中心とした集合住宅501戸と、敷地内に商業施設、公共施設を備える都市の居住空間が広がっています。
商業施設としては、代官山アドレス・ディセがあり、洗練されたショップからオープンカフェまで、多彩な店舗が並び、ガラス張りの天井が高級感を醸し出しています。
地下1階には、公共施設である、渋谷区代官山スポーツプラザがあり、2層吹抜けの高い天井と大きな窓からは緑豊かな植栽が窺え、開放感溢れた温水プールが利用できます。その他にも、多目的広場として利用できるアドレスコートや旧同潤会代官山アパートメント時代より、コミュニティスペースとなっていた場所であったことを受け、代官山コミュニティルームを作り、地域活動・文化活動の際に利用できるスペースなどが設けられています。
上記の空間をひとつの家として捉え、ランドスケープデザインを手掛けたのは、ニューヨーク近代美術館などの美しい風景を生みだし、世界的に高い評価を受けているロバート・ザイオン氏です。ダイナミックでありながらシンプルなデザインで自然との共生から生まれる優しくあたたかな表情を創造しています。そのランドスケープの中で大きく活かされているのが、存在感を放つ植栽です。もとの敷地に長年根をおろしてきたヒマラヤスギやケヤキの移植を始め、イチョウやクスノキなど効果的にそれぞれの場所に適したシンボルツリーを配してあります。代官山という街全体の印象をより鮮やかに心地よく高める工夫が施されています。
また、住宅棟のタワー部分を支持層への直接基礎とし、地震時の大きな揺れを軽減する制震装置を導入するなど、耐震や耐火、災害時対策を追求し、地震に強い住まいであることを設計思想の一つの柱に据えて強固で堅牢な住まいに仕上げています。
代官山アドレスは代官山の記憶を受け継ぎ、20世紀を代表する集合住宅から、21世紀を代表する集合住宅へと美しく変貌を遂げ、周辺の風景と調和しながら、代官山を代表するスポットになっています。