地価ニュース

所有者不明土地、私的利用へも拡大を

不動産学会など、ランドバンク制度も

　日本不動産学会と都市住宅学会、資産評価政策学会は25日、所有者不明土地問題の発生原因と解決策に関する提言を発表した。不明土地に公共的事業で10年間の利用権を設定する「地域福利増進事業」に関して、私的事業への拡大などを求めた。そのほか、行政が所有権放棄地を受け入れる制度や日本版ランドバンク制度の創設、オンライン化による登記情報の精緻化などを提言した。
　政府が今国会へ提出した「所有者不明土地の特措法案」で創設する10年間の利用権を設定する制度に関して、公園や直売所など公共的事業限定では利用が進まないとし、対象をコンビニやドラッグストア、その他私的事業にまで拡大するよう求めた。併せて、低利融資や補助金による地域福利増進事業の利用拡大も提案。また、管理放棄地を減らすため、国や自治地が管理に行き詰った私有地を受け入れる制度と、経済的価値はあるが不要な不動産を国や自治体に寄附する仕組みの創設を提起。寄附促進のため、所有者への還付金交付も一案とした。また、アメリカのランドバンクを参考に、市町村が関与した法人が私人の土地を集積し、経済的障壁の除去や権利関係の整理などを行い、再び不動産市場で流通させる制度の創設を提案した。
　不動産登記制度に関しては、オンライン化を進め、登記のしやすさや登記情報活用コストの引き下げ、レインズなどの不動産情報との接続による利便性の向上を図るべきとした。財産管理人制度については、不在者財産管理人の設置を請求できる利害関係人の範囲を土地利用希望者などへ広く拡大するよう求めた。そのほか、実際に土地を利用する特定の共同相続人に自主占有を認める運用や、固定資産税の滞納処分として不明土地の強制徴収を進める運用も提起した。

（提供：日刊不動産経済通信）